東京結婚式 撮影後記



東京都文京区という、とても旧くからある東京の中心にある街。
イメージとしてはコンクリートの街なのだが実際には木造家屋がたくさん残り
どこか下町を連想させる。
文京区は決して下町では無いのだが下町が消え行く今としては
僕が生まれたあの下町のゴミゴミとした人の匂いがしてくる雰囲気を感じてしまう。
家があるのにそれはただたの板きれとしてあり
プライベートよりも団結した人との触れ合いが人々の生活で
それが人生の温かを物語を作ってくれていた
あの思い出の下町を連想させる。

しかし、それでも東京という大都会の結婚式と思っていた。
場所は根津神社。
正直なところあまり僕のような外部の人間に対して協力的では無い。
しかしその歴史は東京大学の生徒の多くがそこで結婚式をするように由緒はあるのだろう。
僕は果たしてどうなのかと思いながら根津神社に居た。

挙式撮影は禁止なので外から撮るしかないのだが
それを承知で撮影を依頼してくれた二人の為に二人の思いを少しでも写そうと努力した。
挙式が終わり宴会になる。
何度か来た事のある根津神社で、いつもは待合室に使われていた大きな広間が宴会場として設えられていた。
その部屋は以前から良い部屋だなと思っていた。
座敷での和の結婚式はどこかホッとするものがある。
やはり日本人なのだろうか畳の部屋に座るというのは落ち着くものだ。
少人数であるからか向かい合った両親と祖父母にも会話が進み
こんな事が無ければ決して出会う事も無かったであろう
新郎家、新婦家の祖父どうしで話が進む。
地元から持って来たお酒を振る舞い合い耳の遠くなった者同士で昔の話をする。
会話の始まり方はいつも同じで特攻隊に行き損ねたところから。
人生は色々であり個人の体験は個人でしか分からない重みがある。
戦争という忌まわしき時代はその時代を生きた人達に、たくさんの記憶を残したのだと感じた。
そして新郎父が歌を歌う。
娘と一緒に歌い周囲の人達にも歌詞を配り皆で歌おうと勧める。
何とも温かい時間であった。

東京のど真ん中で座敷で宴会の結婚式を見れるとは思わなかった。
東京では難しいだろうと思っていたスタイルだった。



 
森 時尚