「再発見」その言葉は自分に言っていたのかも知れない。
「放射能」それまではSFの世界の言葉のようにしか感じていなかった言葉が目の前の現実として現れた。
何を見ても、その言葉は頭に付いて回っていた。だけど、世界はまるで何事も無かったかのように、それまでと同じように動いていた。不思議な孤独感を感じていた。
この先、どうなるのだろう? 全く見えない状況の中、それでもいつか振り返れる時代が来るかも知れない。
もしかしたら一千年後の未来の人達が今の我々の時代を何かの物語にするかも知れない。それは我々が平安時代の物語を作るように。
ただ、我々は平安時代の物語を作る時は、しっかりとした時代考証はできない、想像の領域を超える事が無い、なぜなら市井の人達の声が残っていないからだ。
ありえない話だが僕の写真を一千年後の人達が見る事があったら、あの時代という遠い妄想では無く、少し声の聞こえてくる想像ができるのでは無いか?
そんな無意味な想像もしたりした。
日本と呼ばれた世界の端っこのそのまた東の端の海の側の里の記録を残す事に夢中になりながら
それでも今まで気が付かなかった事を見つけていたような気がする。